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<<   作成日時 : 2018/07/01 10:20   >>

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◆◆◆◆◆12話




 月日の経つのも早いもので入社してから既に数週間が経過していたが、俺はと言えば

これと言って専門の仕事を与えられることなく、女課長や女係長にに連れられては様々な

部署を点々と訪問する日々を送っていた。


 他の同期の奴らは専門の仕事を持っているのに、俺だけは何も与えられることもなく

ただ、黙って机に向いて座り、声の掛かるのを待っているだけだった。


 流石に1ヵ月も近くなると、俺は焦りを感じずにはいられなかった…

まぁ〜 同期で入社して直ぐに個別販売部になった奴よりは未だマシかも知れないが、

それにしても遅いような気がする。


 ファンシーショーツにブラにパンストも、ようやく普通に自宅で洗ってみる段階に入り

パンストに関しては、女性用に男性用と書いただけの物だったが、後に男の股間部分を立体に

編んだ物が作られ、モニタリングを試みてる最中だが流石に女性用と違って、立体編みは

男の竿を窮屈にすることなく、女性用よりは快適になった。


 そんな時だった…

「彼方の夜を美しく演出… 彼の心を虜にし焦らす(じらす)彼方に彼は夢中!」

 と、意味不明なキャッチコピーが袋に印刷された物を係長から受け取った、俺。


 慣れているとは言え、毎度のことながら緊張する瞬間でもある係長からのモニター依頼は

いつも、突然やってくるこの瞬間。


 何の前触れもなく、何の打診もなく、突然ニコニコ笑顔で俺の机の横に立つ係長は

いつものように、頼みづらそうな顔して見せるとニッコリと愛らしく微笑んだ。

「今度は何だろう…」 と、不安な内心の俺。


 不安な心を見抜かれまいと毅然として、係長から受け取った袋は何やら大きめな割りに

軽く重量感を全く感じない物だった。


 係長の顔を見ると、係長は居た堪れないように、その場をスッと離れた…

俺は机の上に袋を置いて、封を開くと右手だけ入れて中を確認すると、中から係長の香水が

ほのかに漂って、係長が袋詰めしたことを俺に悟らせた。

「フフッ♪」 俺のために袋詰めした係長のことを考えて少し嬉しい、俺。


 中の物を指で抓んで外に出すと、中から現れた物は…

「フッ! やってくれるぜ! 開発5課さんよぉ〜!」 と、思わず俺の口から出た言葉。


 中から出て来たのは、薄い水色のレースとフリルのついたスリップが一枚…

「今度はスリップかよっ! そのうちスカートでも出るんじゃねうのか!」 と、腐る俺。


 俺は腐りながらも更衣室へと足を運んだが、思った通りそこには係長と課長が居て

ベンチに座って自販機のコーヒーを飲みながらタバコを吸っていた。


 いつに無く真剣な眼差しの二人の無視するように、俺は奥の間仕切り壁へと入って

スルスルッとズボンを脱いだが、パンストを履いてる所為か脱ぐのは早かった。


 パンスト、ファンシーショーツにブラジャー姿で鏡に映った自分を見るものの、既に

俺の涙は枯れていた。


 袋から取り出した、水色のスリップは何処が男性用なのか、首を傾げてしまうものの

俺は、目の前の現実から逃げることなく、フワフワと今にも浮きそうなほど軽いスリップに

足を通すと下から上へと捲り上げた。


 スルスルッと滑るように俺の身を包み込んだスリップは、風の無い更衣室の重たい空気を

物ともせずにフワリと俺にフィットして落ち着きを見せた。


 俺はズボンを履かずに、そのままで間仕切壁をすり抜けて女課長と女係長の下へと移動し

二人の前に立った時だ、二人は顔を見合わせ表情が若干強張った。

「ねぇ! これって何処が男性用なの?」 と、係長に聞く女課長。


「さぁ! 大きいサイズなんですかねぇ?」 と、溜息を付く女係長。


「あっ! でもちょっと見て!」 と、スリップの裾を持ち上げて裏側を覗く女課長。


「あっ! ホントですねぇー! 確かに洗濯は濯ぎ洗いで… 男性用と書いてます!」

 と、女課長に報告する女係長。


 二人は俺に聞かせるように、慌てて男性用と書かれた表記を何度も連呼してから、俺に

目を合わせないようにして無言で立ち去った。


 俺は、股間の一物の下辺りにあるレースの裾を気にしながら、ズボンを履くとそのまま

ワイシャツと上着を着ると更衣室から自分の机へと向かった。


 机の上にはいつものように、初期使用感のモニタリング用紙が置いてあって、ルームには

課長も、係長の姿も無かく他の社員達が忙しく動き回っていた。


 すると…

「よっ! バイブマン! どうしたい! 浮かない顔して!」 と、6年先輩の男性の声。


 振り向くと、キャラクターのコスチュームデザイン関連の男性社員だった…

俺は背広を脱いでワイシャツから透ける、片側2本の肩ヒモを無言で見せるとそのまま

椅子に座ったが、男性社員からは慰めの言葉どころか別の言葉が俺に浴びせられた。

「いいよなぁ〜♪ ブラジャーにスリップかぁ〜♪ 下にもショーツやパンストも

 履いてんだろう〜♪ 羨ましいなぁ〜♪」 と、意外なことを言う先輩。


「羨ましい? フザケないで下さいよ! こんなもん着せられて!!」 と、腐る俺。


「そうかなぁ〜♪ お前! こんなにも目を掛けて貰ってて何が不満なんだ?」 と、先輩。


「目を掛ける?? こんな変質者みたいな格好させられてですか!?」 と、文句を言う俺。


「そうかなぁ… お前が着てる物って会社の極秘扱いだろ? 確か開発費に直すと…

 ファンシーショーツが25億円、ブラジャーが27億円でパンストが20億円に、

 スリップが20億円だから、100億までは行かんが近いものがあるだろ〜

 会社の極秘扱いの100億円を着て歩いてるなんて、俺の若い頃は有り得なかったなぁ〜

 そう言えば、お前! 特殊開発部へも連れて行って貰ったんだろ? いいなぁ〜♪

 俺なんて勤続6年で一度も入れてもらってないもんなぁ〜♪

 特殊開発部はトップシークレットだから、特別なコネでもない限り誰も入れないしな〜

 しかも、係長が教育係なんて、他の部署じゃ絶対に有り得ないし、俺はお前が羨ましいよ」


  と、先輩は遠くを見るような目をして、俺に話し利かせた。


 俺は複雑な心境だった…

ドンドン、変質者に近付いて行く俺のワークライフ、同時に特別扱いされる俺の存在。


 そんな時、一つの重大事件が起きた…

いつものように、仕事を終えた俺が自宅アパートへ帰宅し玄関を開けると何かが変わっていた

何がどう変っていたかは解らないが、何かが違っていた。


 靴を脱いで内戸を開けると、異変に直ぐに気付いた…

「何てことだー!」 と、頭を両手で抱えた俺。


 リビングの窓側に吊り下げられていた一週間分の、ファンシーショーツにブラジャーに

パンストが洗濯して干してあって、部屋は綺麗に掃除されていた。


 電話のところを見ればメモが置いてあった…

「○○へ、どんな生活をしているのか解りませんが、女物の下着はネットに入れてから

 濯ぎ洗いして下さい、それと絶対にズボンや服とは別に洗わない事、女物は痛んでしまう

 見たところ、彼女がいる様子もありませんが、私は彼方が息子として選んだ道なら

 何も言うことはありませんし、父さん弟や妹にも、今日のことは話しません。

 ただ、趣味なのか仕事なのかは解りませんが、私は切ない気持ちで一杯です、母より」


 俺の留守の間に、田舎から母親が訪ねて来たことを知った俺は…

両手で頭を抱え床に蹲って何時間も叫び続けた。

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーー!!」


 俺は、確実に母親に女装癖の息子としてインプットされてしまったようだ……

涙は枯れていたはずなのに…… 





◆◆◆◆◆13話




 入社1年…


 朝のミーティングが終るころだった…

「○○君! 今日までモニターしてくれたけど彼方のお影で、確実なデータも取れたし、

 他の部署から推薦もあって、まぁ〜 私としてとても残念なんだけど、彼方にはここを

 辞めてもらうことになったから!」 と、俺を見詰める女課長。


「えぇぇぇー!!」 ざわめく男女社員たち。


 すると…

「とても残念なんだけど… 私にはもう手の届かないところに彼方は行ってしまった」

 と、寂しげな表情を浮かべて、俺の前に立つ女係長。


 周りの同僚たちが女課長に詰め寄って抗議をし始めた瞬間だった…

「おめでとう♪ 凄いスピード出世ね♪ ○○広告宣伝課長」 と、女課長。


 一瞬、ドリームの部屋は静まり返った…

「○○君が… 広告宣伝課長!!」 と、小声から叫びに変った女子同僚。


「今回のファンシーショーツとブラに対しての○○君の陰日向の無い努力が認められたの♪

 正直、男性社員でファンシーセットを1年も着用してのデータ取りは、並大抵の

 苦労では無かったと思います! 時にはパンストを、そしてスリップやガードルに、

 男性用スカートとブラウス着衣での通勤に関しては、全部署の管理職の○○君を

 高く評価していますし、統括本部長も過去に類を見ない愛社心の持ち主と絶賛しています

 今回の件は、既に常務や専務に社長の耳にも届いていて、社長直々の人事となりました

 本日から、○○君は広告宣伝部の課長に昇格しましたことを、伝えます。 そして同時に

 ○○係長のドリームでの課長への昇格を伝えます!」 と、真顔で話す課長。


 ドリームは課長の話しで一気に静まり返り、同僚達はいつしか男性用スーツスカートを

着用している俺の周りを埋め尽くした。

「○○君! いえ… ○○広告宣伝課長! 昇進! おめでとうございます!」 と、係長。


 課長が俺の前に立つと、おれを取り囲んでいた同僚達はサッと俺の前を開けた…

「これからはも! ○○君! 宜しくね!」 と、満面の笑みを浮かべる女課長。


「えっ?でも、じゃぁ課長は?」 と、女子社員達が一斉にどよめきだした。


 すると、突然ドアが開いて…

「そこからは、私が話すよ!」 と、開発部長。


 全員、開発部長を前に一斉に後に後退りするように下がると…

「○○課長は本日付で、ドリームを去り開発次長として少し上の階に来て貰うことになった」

 と、社員達の端から端まで見渡すように淡々と話す開発部長。


 ドリームの係長には、いつか俺を慰めてくれた勤続6年、今年で7年の男性社員が決まり

目を輝かせ平だった社員の何人かも主任へ昇進を果たした。


 俺は何もしていない、ただ言われた通りの物を着衣して一年間、通勤していただけだし

そりゃぁ〜 辛いことは山ほどあったよ。


 学生時代の友人にファンシーショーツにブラジャーに、パンスト姿を見られ変質者扱いされ

まぁ〜 解決はしたが、留守の間に母親が来て掃除と洗濯して帰った時なんかは、完全に

俺は、実の母親から変質者として認定されたし。


 係長から男性用スカートだと渡された時は、正直会社を辞めようと考えていたなぁ〜

でもまぁ〜 哀れに思ったのか係長の進言でスカートに会社系列のブランド名を入れてくれて

かなり、俺も気が楽になったっけ〜♪ まぁ〜 ○○ブランドと言えばソコソコ名の通った

ところだし、一応、ファッションと言う趣で通すことが出来たし。


 スカートの次は男性用のブラウスに、リボン帯はきつかったなぁ〜♪

あの時も限界を感じたっけ〜♪ もう辞めようって何度思ったかしれやしない。


 歩く広告塔と呼ばれ、周囲からは哀れみの同情まで寄せられ、課長や係長を鬼だと罵る

他の部署の社員たちもいたし、課長や係長の靴に画鋲が入れられたなんてこともあったな。


 下着はショーツ、ブラジャー、スリップ、ガードル、パンスト…

衣服はは、スカートにブラウスにチョッキにリボン帯と一瞬誰がどう見ても、お釜ちゃん。


 極めつけは3センチのヒールと来たもんだ!

俺の自宅は男物は押入れに片付けられ、男性用各種が箪笥を占領してしまったなぁ。



 あれから月日は流れ…


 アナター♪ 起きて下さい〜 会社に遅刻しますよぉ〜♪

「おぉー もうそんな時間か…」 と、お越しに来た女房に話す、俺。


 家の玄関に迎えの車が来ていた…

「じゃぁ! 行って来るよ!」 と、女房に車窓から手を振る俺。


 渋滞もなく車はスイスイと進み会社の前に横付けされると、後部ドアが開けられ…

「社長!おはようございます!」 と、俺を向かえる大勢の重役達。


 俺はあの後、ファンシー関連の広告宣伝で力を発揮し、見る見る間に出世街道を快進撃し

本部長、常務に専務、副社長と一気に駆け上がり、有り得ないことだが今は社長になった。


 中途入社からここまで来るには他人には解らない苦労をしてきたが…

あぁ! そうそう! 俺の女房を紹介しよう!

「皆様、ご無沙汰しておりました♪ ○○君の教育係をしておりました、○○でございます」

 と、和服姿で屋敷の門で俺を待つ女房の○○。


 俺は本部長になった後、女房の○○と結婚し、仲人は当然のこと当時はドリームの課長、

今は、俺の良きパートナーでもある副社長だ。


 そして、俺は今日も元気に男性用ミニスカートを履いてヒールの音を廊下に響かせている。



完了
 

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